あどりぶシネ倶楽部
著者:細野不ニ彦
書名:あどりぶシネ倶楽部
版元:小学館文庫
1980年代前半の連載。東京の大学、8mm映画同好会。頼れるけども謎の多い先輩、自分よりも出来のいい同級生、可愛い後輩。文科系サークル活動が凝縮された物語。
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「あいつらと一緒にいると、オレも一発何かやらなくちゃ・・・ 自分の目標ってもンを探さなきゃなって、気分でいられるのサ!」
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ここでの「映画」はデジタルビデオでなくアナログフィルム。僕が学生の当時(この物語の数年後)で3分のフィルムが1500円、現像代が500円くらいだった。デジタルとちがって撮り直しのきかない、1発勝負の3分が2000円。当時の学生のアルバイトの時給は600〜1000円。そのランニングコストは学生にとってけっこう厳しかった。実際撮った2/3はミスやら何やらつかえないわけで、実質1分に2000円。時給1000円の美味しいバイトを見つけたとしても、2時間働いた結晶がなんと1分の映像にしかならない、というなんとも厳しい趣味だった。 といっても僕が撮ってたのはお遊び程度で時間も短く、そんなに財布にきつくなかったけどね。撮ってる時間そのもの、撮る素材を作ってる時間、フィルムそのものを切った貼ったで編集する時間、なにより友人たちと馬鹿話しながら徹夜で作業した時間が楽しかった。
息子よ。友人達と一緒に何かをつくる時間ほど楽しいものはないよ。一緒に作ってる
時間そのものが楽しいし、やりとげた達成感を共有する時も楽しい。そして歳をとって、一緒に酒を汲みかわしながら過去を楽しめるのがいい。ひと粒で3度美味しいってやつだ。
- 作者: 細野不二彦
- 出版社/メーカー: 小学館
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